teaching disability(指導障害)

広汎性発達障害などについて考えていくと、一般的な教育についても見直すことにもある
10/25に言及したhttp://d.hatena.ne.jp/ky823/20061025

は心底考えさせられる本であった。印象深い点を書き出してみた

「一人ひとりの子どものニーズに応じた指導方法はいくつもあるのに、それを実践していないというのが今のアメリカの現状だと考えます。少年院だけでぱありません、一般の教育現場でもそうです。
 子どもたちのことをLD、ADHDアスペルガー症候群発達障害と呼んだりしますが、私たちはそうは考えていません。彼らぱteaching disability(指導障害)だととらえています。つまり、サンディエゴ少年院の調査からもわかるように、指導のされ方に問題があるのであって、一人ひとりの認知に応じた指導方法を実践すれば、問題は最小限に仰えられるはずです。だからこそ、子どもたちが抱える問題は子どもの側の問題ではなく、教育する側の問題だとわれわれぱ考えているのです P264」

「子どもに接点をもつすべての人間が、その子の将来の可能性を左右する。だからわれわれは、その子を理解し、支援する努力を怠ってはいけないのだ」
 われわれにできることは何なのか、今一度足元から見直す必要がある。
 そのソリユーションの一つに、一人ひとりの子どもをありのまま理解して受け止め、さらには待性に応じた教育を実践していくことで支援していく々がある。発達障害があろうがなかろうが関係ない。学校に行けないとか、いじめにあっているとか、虐待されているとか、家庭のなかでいさかいが絶えないとか、転校生だとか、帰国子女だとか、外国籍だとか……。他者との間で違和感があり、居場所がなく、生きにくさを抱えた子どもはゴマンといるのだ。そのことに私たちは目をつむっていてはいけない。
 矯正教育や司法の関係者が、教師が、医者が、行政関係者が、いや地域社会に生きるすべての大人が、このことをどう受け止め、どう考えて何を実行していくのか。
 問われているのは、ただその一点だけなのだ。 P267=一番最後

今日、ここから波及して
http://www.pref.aichi.jp/hsc/asca/ あいち発達障害者支援センター
http://www.e-club.jp/ NPOえじそんくらぶ
へとジャンプしたら、こんな記事があった うまくリンクできないので以下上記サイトより引用=大変長いのだが・・・

9月28日(木) 19時から20時54分にフジテレビで「恐怖の食卓」という番組が放映され、直後から視聴者から当法人へ、ADHDに対し偏見や誤解を生む内容であるとのメールを数多く頂きました。

早速、当法人理事が番組を確認し、田中康雄先生ならびに品川裕香さんにご協力を頂き意見書を作成し、10月6日にフジテレビにFAXと郵便で送りました。以下に送付した意見書を掲載します。

なお、フジテレビからは、番組チーフプロデューサーの方より、「頂いた意見書に関しまして、早急にご回答させて頂くように致します。」とのメールを6日に頂いています。頂いた回答も、順次掲載します。

New!10月12日付のフジテレビからの回答を掲載しました。(PDF)


株式会社フジテレビジョン
代表取締役会長 日枝久
代表取締役社長 村上光一

2006年10月7日
NPO法人えじそんくらぶ
代表 高山恵子

貴社の放送番組に対する対応に関しての意見書

私は、AD/HD(注意欠陥多動性障害)のある方々を支援し、AD/HDの正しい理解のために啓発活動をする全国団体、NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子と申します。臨床心理士として当事者や親御さんの支援をするとともに、現在、中央教育審議会専門部会委員やNHK番組審議会委員等、公的な立場で社会貢献させていただいています。
この度、貴社が、2006年9月28日(木) 19時から20時54分に放映した「恐怖の食卓」という番組において、AD/HD(注意欠陥多動性障害)に対し偏見や誤解を生む内容があったことを確認しました。
NPO法人えじそんくらぶとしては、ここに厳重に抗議するとともに、10月30日までに誤解を解くべく、貴局内での番組での釈明と、関係者特に保護者、当事者の方々へ新聞等での謝罪広告及び貴社HPでの謝罪の掲載、正確な情報を伝える番組の製作と放送、そしてさらには今後このような内容の番組の制作・放送の自粛をお願いするものです。

1.事実確認
放送番組 フジテレビ系「恐怖の食卓」
放送時間 2006年9月28日(木) 19時から20時54分
問題箇所 「現在の子どもの未来の病気」というコーナー

2.番組内容(録画したDVDより起こしました)
松本伊代さんのお子さんの食生活を例に挙げ、高脂質・高たんぱくの食事を続け3年後に罹患する可能性のある病名を各診療科目の医師がパネルに掲示する。
ここで、脳神経科の馬場医師が「AD」と掲示。その後、VTRで「AD」等の説明が始まる。
①このような食事は脳にも悪影響を与え、「AD」という聞きなれない病気を引き起こす。
②代表的症状は、ちょっとしたことで突然キレること。
③正式には「注意欠陥多動性障害」と言われ、近年多発する未成年の凶悪な事件も、この病気が一因だと言われている。画面には「AD/HD 注意欠陥・多動性障害 近年増えている少年犯罪の一因と考えられている」というテロップ。背景に、北海道新聞・読売新聞・中日新聞の少年犯罪の記事が放映される。
キレるだけでなく、精神的にも不安定になり、引きこもりやうつ病になることも
脳神経ドクター馬場武彦氏のコメント「現在20人に一人の子どもがAD/HDであると報告されている」
⑤ビタミンやミネラルを豊富に含む日本食を、最近の子どもたちが食べなくなったことが原因の一つと考えられている。
⑥以上を、非常に扇情的なナレーションで伝える。

3.事実経過
同コーナー放送直後から、当法人のHPや事務所には番組を見た会員(AD/HDのある子どもの保護者や当事者)、医療関係者、教育関係者から相談殺到。いずれも放送内容が杜撰で非常に不適切であり、その旨テレビ局に電話したが取り合ってもらえなかった、誠意を感じなかったという内容だった。
そこで当法人の理事が全員録画された番組を視聴、問題箇所を検討。

4.番組についての質問
1)ADHDとは、アメリカ精神医学界診断マニュアル第4版(DSM−Ⅳ)では「注意欠陥および破壊的行動障害」というところに位置づけられ、学齢期の子供で3?7%認められるものである。AD/HDについて医学界の認識は古く、学術文献としては、1902年にランセット誌に掲載されている。しかしながら原因については明確に言及されておらず、現時点でも脳の機能障害、生物学的背景が示唆されているだけだ。少なくとも当法人が知る限り「食事が原因である」という一元論的説明をしている医学書・論文はない。
そこで、番組内で「①このような食事は脳にも悪影響を与え、「AD」という聞きなれない病気を引き起こす」とはっきりと断言する医学的根拠を明らかにしていただきたい。また、「AD」というような表現はだれの論文で使われているのか? 合わせて提示していただきたい。

2) AD/HDの症状は、多動、不注意、衝動性という3つの特性から説明されており、衝動性のないAD/HDも存在するが番組では、AD/HDのことを「②代表的症状は、ちょっとしたことで突然キレること」と断言している。その医学的根拠、もしくは「キレる行動である」と述べている文献を示唆していただきたい。

3)「③正式には「注意欠陥多動性障害」と言われ、近年多発する未成年の凶悪な事件も、この病気が一因だと言われている」という指摘だが、その根拠は何か。凶悪な事件を起こす未成年を矯正教育する少年院や鑑別所等を管轄する法務省も警察も、「AD/HDが未成年の凶悪事件の一因」というエビデンスは出していない。番組がそう発言をする根拠を示していただきたい。

4)予後として指摘された「ひきこもり」についてだが、この点は特に異論を唱えたい。この根拠はどこにあるのか。文部科学省でも厚生労働省でもまだそのようなエビデンスベースの調査は行われていない。どこのデータをもとにした発言なのか、エビデンスを示していただきたい(予後としてうつ病的になることや、不安状態になることは、文献的に、臨床的にも経験する点であるが、これは、現在のところ、併存症、共存症、二次的症状なのかもまったく不明である)。

5)AD/HDが20人に1人、約5%という数字は誤りではないが、現在、AD/HDについて診断できる専門家は限られており、AD/HDおよびその周辺の発達障害に詳しい医師は多くはなく、誤診も多いという事実がある。そのため、厚生労働省の中にAD/HDに関するガイドライン研究班を設置、対策に乗り出している。実際的には、主に児童精神科医、あるいは小児精神科医、小児神経科医が診断と治療にあたっている。
そういった現状を踏まえたうえで、今回のAD/HDに関するコメンテーターの人選の経緯をお聞きしたい。この番組のプレゼンテーションでは、ここに発表された内容のすべてが馬場医師という脳神経の「専門家からの正しい情報」と一般視聴者が誤解する可能性が高いが、その情報源の事実確認と放送された番組の内容に関して同ドクターの監修があったのか、同ドクターのADHDを含む発達障害に関する臨床経験についても併せてお聞きしたい。あるいは他の専門家の監修を受けたか、うけたのであればそれが誰か、情報を公開していただきたい。

6)平成19年度から、すべての小・中学校で特別支援教育、すなわちAD/HDを持つ子どもたちを含む発達障害のある児童・生徒への教育的支援が導入される。そのために、文部科学省厚生労働省だけでなく各地方自治体、教育委員会、医学界では急ピッチでシステム導入と専門的な研修、広く一般に向けての啓発活動が、また法曹界や司法界でも研修等が進められている。中央教育審議会でもAD/HD等のある子どもたちの教育支援に関して学習指導要領の改訂にかかわる委員会も開催されている。ところが、一番の課題は、クラスメートや保護者へのAD/HDについての正しい理解が進まないことである。このような現状を関係者は認識した上でこの番組を作成したのか、また認識した上での作成であった場合、偏見を生じやすい内容を放送することの意図は何か、明確なご回答をいただきたい。

5.NPO法人えじそんくらぶの見解

1)現時点での医学的エビデンスに基づく内容ではないにもかかわらず、「食生活の乱れ→キレやすい→AD/HDになる→凶悪事件を引き起こす一因」といった論理の飛躍を不特定多数の視聴者に対しテレビで放送したことは大きな問題がある。確かに「食生活の乱れ→キレやすい」は栄養学的に科学的なエビデンスがあり、「キレやすい児・者のなかにAD/HDのある人がいる」ことも事実ではあるが、キレるという状態になる原因はさまざまであり、一般論として「食生活の乱れ→キレやすい→AD/HD」という見解は、現在のこの分野の専門家の中にはない。まして、「AD/HD→凶悪事件を引き起こす一因」という発言にいたっては、見識の低さを露呈している。このエビデンスがどこにあるのか。法務省に限らず、世界中の論文を見ても、「AD/HDだから凶悪犯罪を起こす」といったようなことが、科学的エビデンスに基づいて発表されたケースはなく、この意識の低さと不正確な情報をゴールデンタイムに放送したという貴社の無責任な行動は社会的にみても大きな問題と考える。        

2)平成16年12月には故橋本龍太郎氏が初代会長である「発達障害者の支援を考える議員連盟」の国会議員主導で発達障害者支援法が成立し、現在国会議員の 130余名がAD/HDやLD等のある児童生徒、及び大人の支援について勉強会を開き、ハードの整備に尽力している。この発達障害者支援法 第1章総則にも
(国民の責務)
第四条 国民は、発達障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、発達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない
とある。今回、貴社が放送した同番組は、世の中のこういった流れに正面から逆行するものと考える。さらに、今回の番組はAD/HDのある児童生徒・成人および保護者、関係者をひどく傷つける内容で、この「偏見をなくし、正しい理解を広める」という啓発の重要な時期に、周囲の人に対して、あきらかに間違った情報を放送したことの貴社の責任は重大といえる。

3)以前からAD/HDのある子の親は、「親の育て方やしつけが悪いから問題行動がおきる」と誤解を受け、「周囲による親批判が虐待の誘発、親のウツの原因」となることが専門家から指摘されている。番組中の「子どもを守るのは母親」と言うコメントは、その傾向を強めるという悪影響が懸念される。
また子どもが視聴する時間帯であったため、AD/HDと告知されていたり、AD/HDであることを自覚しはじめた子どもたちへの悪影響も計り知れない。同番組は自己理解のために重要な自己認知に対してネガティブなバイヤスを与え、今後の彼らの人生に大きく影響すると考えられる。実際、この番組を見た翌日、 AD/HDを持つ子たちがいじめを恐れて学校に行きたがらなかったという報告も当法人に届いている。これは、終始あたかもAD/HDが「凶悪犯罪を起こす危険なもの」というようなイメージで放送されたことの影響だと我々は考える。

4)さらに、遺憾であるのは、貴局の番組担当者に抗議し、内容の信憑性に関して質問したところ、「現場が作ったので分からない」との返事だった点だ。担当者には、このような番組がAD/HDをもつ子やその家族に対する偏見や誤解を生むという意識がなかったのではないか。また、抗議の電話をしたときに「ご意見は今後の番組作成に反映する」という回答があったということであるが、下請けの番組制作会社が制作したものであれ、貴社局内で制作したものであれ、あるいはバラエティ番組であれ報道番組であれ、放送された情報に関して責任を持ち、正確な情報を放送する義務が貴社にあることは、自明の理といえる。そして視聴者の意見が、どこまで具体的に制作サイドに伝えられているのか明らかにしていただきたい。また今後の番組制作に反映するとの担当者の回答に対しては、具体的なアクションプランの提示を希望する。

以上。

不正確な情報をメディアが流すことがいかに重大な事態を引き起こすか、認識していただき、再度正しい内容の番組を制作してほしいと思います。また番組は AD/HDに関してですが、こういった無責任な番組制作は広く障害全体の偏見や差別を生む行為です。この番組を見て、多くの子どもや親が傷ついています。その事実を認め、早急に新聞およびHPでの謝罪、また正しいAD/HDの知識に基づく番組制作の確約をいただきたいと思います。もちろん、今後、番組制作などでAD/HDをはじめ発達障害に関わる機会があれば、正しい理解のために、協力することは惜しみません。
また、明確にしていただきたいのは、こういった視聴者の意見を貴社がどの部署でどのように具体的に受け止め、それを現場へどういう形でフィードバックしていくのか、そういったシステムが存在するのか、存在するならばそれは機能しているのか、という点です。視聴者の意見を社内でどのように取り扱うか……これは貴社の番組制作に対する基本的な考え方、メディアという影響力のある企業としての社会に対する責任のあり方をもっとも反映することと考えます。「この種の批判はよくあること、適当に回答しておけばいい」という考え方が会社の常識になっている企業体質であるとすれば、このAD/HDに関する一番組だけではなく、他の番組でもおこり、また今後も続くことが予想されます。それは、確実に企業の信頼の失墜につながり、貴社にとってもプラスになるとは思えません。それを踏まえて、貴社の代表者の明確なご回答を希望します。
この件に関して、10月30日までに下記に、お返事をいただきたく思います。また、今回、多くの会員より番組についての意見が当法人に寄せられています。この意見書と頂いたご回答は、当法人のHP及びニュースレターに掲載しいたします。良識と誠意あるお返事をお待ちしています。
<以下略>