畑村洋太郎「数に強くなる」

先日ジュンク堂にいったら名古屋店のベストセラーとなっていた
実は2月の新刊で3月購入、忙しさに紛れてなかなか読み進められなかった
今朝ようやく読了
amazonの書評では辛らつな批判もあったが
それに対して3分の1が参考になったというのも嘆かわしい

数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)

著者の本やTV番組はこれまでにも
http://d.hatena.ne.jp/ky823/20061202
http://d.hatena.ne.jp/ky823/20061203
http://d.hatena.ne.jp/ky823/20070228
http://d.hatena.ne.jp/ky823/20070304


言及してきたので、身贔屓もあるのだが、
この本は確かに前半はもたつきというか、まとまりの悪さを感じなくもない
しかし、感心させられる点が実に多い

なかでも、P196から始まる「自己評価は2割増の法則」には参った

「自己評価は2割増しの法則」というものがある。これは別の言い方をすると、「他人の評価は正しい」ということである。
 たとえば、勤続年数が大体20年を過ぎた会社員で考えてみよう。このくらいの中堅社員になると、経験をたくさん積み、自信も付いて、「俺は会社にとって大事な仕事をしているぞ」と思うようになるものである。 そこで面白いことが生じる。ここで、図43を見てほしい。こういう人の中では、年をとるとともに、「自己評価」の度合いを表わす曲線がダンダンと上に伸びていく。そして、
「自分はこれだけ会社に貢献しているんだから、それ相応に扱われるべきだ」と感じるようになっていくのである。
 ところがである。会社は自分が思うような評価も扱いもしてくれない。なぜか。実際には、その人の社会的重要度は、「世の中の評価」を表わす曲線のように、年とともに落ちていくからである。辛い話だが、そういう現実があるのである。
 すると、この人はどうなるか。不満のかたまりになっていくのである。「自己評価」と「世の中の評価」とのギャップが、その人の中で「不満」という形で蓄積されていくからである。
 そして、そういう人は決まって「俺はちゃんと評価されていない」と言う。さもなければ「アイツに俺の何がわかる」とふてくされる。しかし、それは違うのである。これまた辛い話だが、他人の評価は正しいのである。
 このように、人間は自分のことを過大に評価する(評価したがる)傾向がある。人が見ているよりも、自分には甘い点数を付けるのである。その甘さの程度が大体2割である。そこで、これを「自己評価は2割増しの法則」と呼んでいるのである。
 困ったことに、有能で頑張っている人ほど、この法則の落とし穴にはまりやすい。
 「俺がこんなに努力をして一生懸命やっているのに…」と思ってしまうのである。

 「自己評価は2割増しの法則」が教えているのは、「謙虚になれ」ということである。だから、「俺がこんなに…」と思いたくなったときには要注意である。 P196〜P199