都道府県の判断と市町村と学校の判断 どれが優先されるのか?

今朝の中日新聞一面に大々的に書いてあった
ここは、web版の記事消滅が早いのであえて引用する
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060730/mng_____sya_____000.shtml
中日新聞ホームページへようこそ

国学力テスト 市区町村の84%が参加の意向

 文部科学省が来年4月に実施する全国学力テストについて、全市区町村長の84・2%が参加の意向を示し、うち半数(全体の42・8%)は結果の公表を予定していると回答したことが29日、共同通信社と加盟新聞社のアンケートで分かった。不参加の意向は3・9%に当たる71市町村で、無回答は12・0%の220市区町村だった。

 文科省自治体や学校の序列化を避けるため、結果の公表は原則として都道府県までとしているが、多くの首長は公表を念頭に参加を考えていることが明らかになった。

 調査は5−6月、全市町村と東京23区の計1843市区町村を対象に実施し、回答率は99・7%。不参加意向の中には、調査後に対応を変えた自治体もあり、最終的な数字は変動する可能性がある。

 「参加する」と回答したのは1546市区町村。このうち、「結果を公表する」は786市区町村で、「公表しない」の760市区町村を上回った。

 参加する最大の理由は「児童生徒の学習到達度を把握し、指導改善に生かす」66・6%、「自分の自治体の水準を把握し、施策に反映させる」23・2%で全体の約90%を占めた。そのほかは「国が一律に実施するもので、参加が当然」6・1%、「各学校の競争意識を促し学力向上を図る」3・2%の順だった。

 参加しない理由は「すでに都道府県や市町村で実施している」40・8%、「自治体や学校が序列化され、過度の競争につながる恐れがある」29・6%、「教育内容の統制につながり、地方分権の趣旨に反する」14・1%などの順だった。

<全国学力テスト> 文部科学省が国公私立の中3と小6の全児童生徒を対象に国語と算数・数学の2教科で実施するテスト。参加は強制せず、自治体や私立校による自主参加の形式を取る。第1回の実施は2007年4月24日。文科省は、問題ごとの正答率などを都道府県単位で公表する。学校間の序列化につながらないよう公表は都道府県単位にとどめる一方、市町村や学校が自らの判断で公表することは認めた今年11月から12月にかけて小中各100校で予備テストを行う。

◇自ら学ぶ力育たぬ

 愛知県犬山市の瀬見井久教育長の話 結果公表は(参加意向の自治体の)半数程度だが、実際にはもっと多くなるのではないか。(文部科学省のように)自治体に委任すると言えば聞こえはいいが、結果を公表せざるを得ない自治体の実情は国も十分承知しているはずだ。全国一律のテストは競争原理によって点数を上げることはできても、自ら学ぶ手だてにはなり得ない。文科省の施策は、犬山市が積み上げてきた教育観とは異なるので参加はしない。ただ、現場で独自に学力対策ができるにもかかわらず、これまで努力を怠ってきた自治体があるのも事実。調査自体を否定する気はない。
<強調はky823による>

新聞そのものの見出しは「学力テスト84%が参加」小見出しで「市町村 半数は結果公表予定」

http://d.hatena.ne.jp/ky823/20060620 2006-06-20の日記で書いたことだが
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/031/toushin/06042601/all.pdf
全国的な学力調査の具体的な実施方法等について(報告)
をよく読んでみると、13ページ

(3)調査結果の返却の具体的方法
○ 国は,教育委員会及び学校等が広い視野から教育施策の改善や教育指導等の改善を図る機会を提供するため,原則として都道府県等に対して調査結果を返却する。その際に,それぞれの役割と責任に応じた調査結果を返却することにより,調査結果に基づいた教育条件の整備や教育指導の改善方策など具体的な実践に結び付くことが重要であることから,以下の考え方を基本とす
る。
・ 各都道府県に対しては,域内の市区町村単位及び学校単位の状況が把握できる調査結果を返却する。
・ 各市区町村に対しては,域内の学校単位の状況が把握できる調査結果を返却する。
・ 具体的な教育活動を実施する各学校に対しては,学級単位及び児童生徒ごとの状況が把握できる調査結果を返却する。
○ また,返却に当たっては,以下のような留意点を併せて示すなどの配慮が必要である。
・ 全国的な学力調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること。
・ 数値により示される調査結果については,分かりやすい反面,一面的な解釈がなされるおそれがあるため,その数値の解釈と併せて返却すること。
学校評価や児童生徒の学習状況の評価など学校教育にかかわる評価に際して,この調査結果を有用な情報の一つとして活用できるものの,この調査結果は多面的な評価のための一側面にすぎないこと。
○ 個々の児童生徒に対し,調査結果を返却する際には,学習改善や学習意欲の向上につなげていくという観点を十分に考慮することが適当である。
都道府県が国から返却された調査結果を独自に公表することについては,国としては都道府県に対して一定の考え方を示して都道府県等の判断にゆだねるべきとの意見もあったが,都道府県が域内の市区町村等の状況を個々の市区町村名等を出して公表することになると序列化や過度な競争につながるおそれは払拭できないと考えられる。また,全国的な学力調査の実施主体が国であることや市区町村が基本的な参加主体であることなどにかんがみると,都道府県に対して,原則として,国における公表レベルや内容と同様の対応を求めることが適当である。
○ 一方,全国的な学力調査において,都道府県等が,域内における学力に関する分布の状況を明らかにするために,個々の市区町村名等を出さないで市区町村,学校,児童生徒の分布の状態を示すことはあり得るものと考えられる。
○ 現在,都道府県が独自に実施する学力調査において,域内の市区町村の状況を個々の市区町村名等を出して公表している都県があるが,これについてはそれぞれの都道府県の判断にゆだねられるべきである。
国が市区町村や学校に調査結果を返却することのねらいは,それぞれが全国の中でどのような状況であるか認識し,その上で指導改善等に生かすことにある。各市区町村や学校が自己の結果を公表することは,それぞれの判断にゆだねることが適当であるが,公表する場合も,全国的な学力調査の結果に基づいて順位付けがなされることや過度な競争をあおらないよう細心の配慮を払う必要がある。
市区町村,学校が地域や保護者等に説明責任を果たすために自己の結果を公表する場合には,例えば,この調査により測定できる学力は特定の一部分であることや,学校評価の中で体力なども含めた教育活動の取組の状況等を示し,調査結果の分析を踏まえた今後の改善方策等を併せて示すなど,序列化や過度な競争をあおらないような工夫や取組が必要である
強調などすべてky823による<<

都道府県は「公表しないように」ゆるやかに指導しても、市町村が「公表すること」を強く迫ることができるのだろうか?