TBS「スペシャルドラマ『マラソン』」

昨日、あの本の書評を書いたら、今日このようなドラマをやるなんて?


http://www.tbs.co.jp/drama-marathon/
TBS 『マラソン

走れ、ヒョンジン!

走れ、ヒョンジン!

マラソン (幻冬舎文庫)

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マラソン [DVD]

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たしか、一昨年この映画を見そびれていたので、これを機会に……と思う
ちなみに、監修はアスペ・エルデの会の辻井先生だった!
http://www.tbs.co.jp/drama-marathon/comment.html

『マラソン』の主人公・彰太郎は自閉症という障害をもっています。
自閉症は、「自閉」という文字の印象から誤解されやすいのですが、自分に閉じこもるという障害ではありません。また、ショックなことがあって発症するわけでもないし、ましてや、親の子育てのせいで起こるわけではありません。自閉症発達障害の代表的なものです。自閉症とその近縁の状態像を含む広汎性発達障害は人口のなかで、おおよそ1‐2%の頻度で生じてくる、発現率の高い発達障害の1つです。原因の詳細は、現在、生物学的精神医学の進歩によって徐々に明らかになっていますが、生まれながらの脳機能の障害によるものであることが明確になっています。
そもそも発達障害とは、生まれながらのちょっとした脳の発達の違いから生じてくるもので、その人の状態像によって、できることに関する制約があることはありますが、「障害イコールできないこと」という考え方は過去のものになり、「理解と支援を必要とする個性」として理解されるようになってきています。わが国では2005年4月より発達障害者支援法が施行され、やっと社会的な支援の枠組み作りがスタートしました。日本発達障害ネットワーク ( http://jddnet.jp/ ) というわが国を代表する当事者団体のネットワークが生まれ、本格的な支援体制作りが始まっています。

発達障害には、自閉症などの広汎性発達障害以外に、知的障害や、注意欠陥多動性障害学習障害、発達性協調運動障害などがあり、それらの状態像が重なりあうこともまれではありません。彰太郎の場合、自閉症と知的障害を伴っています。そのため、自閉症による困難さだけではなく、理解のゆっくりさや理解することの困難さをあわせ持っています。自閉症などの広汎性発達障害の三分の一から四分の一程度は知的障害をあわせ持っています。知的障害を伴わない自閉症高機能自閉症と呼びます。かつて、TBS が2000年にともさかりえさん主演で製作したドラマ『君が教えてくれたこと』 ( http://www.tbs.co.jp/kimioshi/ ) は高機能自閉症の女性を主人公とし、たいへんに話題となった名作です。

さて、自閉症とは、1)社会性の障害、2)コミュニケーションの障害、3)イマジネーション (想像力) の障害、の3つが3歳以前より見られる場合に診断がなされます。

社会性の障害とは、相手の意図や、場面や状況が自然にわからず、場に合わせて行動することが難しいもので、非常識と思われる行動をとることが少なくありません。例えば、「まっすぐ」と言われたらその言葉通りに誰かにぶつかっても突進してしまったりすることもあります。
コミュニケーションの障害とは、社会性の障害があることで、相手の意図が汲みにくいため、双方向性のやりとりになりにくく、自分の興味ある話題、例えば電車のことは話しても相手の話は聞いていなかったりします。
イマジネーション (想像力) の障害は、こだわり行動やパターン的で、柔軟に対応できません。一つのやり方を学ぶとワンパターンにそのやり方でこだわって修正がきかなかったり、狭い興味、例えば電車のことに没頭して考えたりします。また、感覚的な行動、例えば、手や指先をひらひらさせたり、キラキラしたものを見ることなどに没頭することもあります。幼児期などの場合、まだ行動の仕方のバリエーションの学習が少ないため、パターンを崩されると混乱し、パニックになることもあります。
しかし、視点を変えてみれば、日記を書くなど、決めたことは必ずやるため、自分にあった仕事が見つかると活躍できることも多いものです。

そのほか、重要なことで、自閉症の人の中には、人から触られることや、大きな音への感じ方が強くて対応が取れないほど、過敏性を持つ人が、全てではありませんが、います。過敏性は幼児期ほど強いため、両親は育てることがとてもたいへんになります。

自閉症など広汎性発達障害への発達支援は大きく進歩しており、早期から子どもの「個性」の1つとして理解をしていくことで、小さいときからの支援の積み上げの中、彰太郎のように、企業などで就労できる人が増えています。しかし、周りの人たちの「理解と支援が必要な個性」であることは間違いなく、多くの方たちがまずは知っていただくことが大切です。ぱっと自然にわからなくても、「教えられて覚える」タイプなので、丁寧にわかりやすく教えてもらえることで大きく伸びていくことを知っていただくといいでしょう。例えば、言葉の理解する力が弱い場合には、目で見てわかるように絵や写真で示すことでわかりやすくすることができますよね。具体的な支援の仕方なども進歩しており、日本発達障害ネットワークなどに加盟する当事者団体や学会などの実施する講演会や研修会などで知ることができるでしょう。また、同様に、加盟団体であり、日本を代表する自閉症児者支援の中核である日本自閉症協会 (http:// www.autism.or.jp ) や、あるいは、NPO法人アスペ・エルデの会 ( http://www.as-japan.jp/ ) などで行っているイベントや、自閉症の人たちへの地域での活動へのボランティアなどをすることによって、実際にあなたの地域で生活している彰太郎たちと出会えることでしょう。

(辻井正次:中京大学現代社会学部教授、浜松医科大学客員教授・子どものこころの発達研究センター客員教授NPO法人アスペ・エルデの会統括ディレクター)

http://www.tbs.co.jp/drama-marathon/about/ より引用

http://www.k-plaza.com/movie/en_mov_ma03.html
ラソン/チョ・スンウ、キム・ミスク、イ・ギヨン/韓国映画