真夏のすき焼き

日吉館といえば、真夏のすき焼きである
大学2年の夏、奈良の古美術研修旅行に「大学から」出かけた
自分たちで選べるのは見てまわる「古寺仏閣」だけで
宿は「日吉館」ご指定だった
初日の夜の夕食が大広間?で「すき焼き」であった
もちろんノンクーラー
ガス焜炉だったか?七輪だったか?
これには一同驚きであった
時は真夏の7月後半 われわれ男子学生はビールを飲みたがったのだが
アルコールも禁止だった(ようだ)大学2年生だから当たり前か?
風呂は近くの銭湯へ出かけた
寝るときにももちろん冷房などあろうはずもない
さまざまな理由で?2日目には女子学生が大挙宿替えをしていた
そんなことを認められていたのかどうか?とにかく事実として、彼女らはいなかった
2日間ともに、よる酒を求めて奈良の街を彷徨ったことも忘れない
たしか、近鉄ビルの屋上のビヤガーデンにも行った

2日目の夜には女主人の「田村きよの」さんにも直接お話を伺ったり
同級生と夜遅く「美術」「教育」談義をしたのは妙に鮮明に覚えている

奈良にはちょくちょくと正倉院展でお邪魔している
その度にこの日吉館の前を通るのだが、最近は夕方から夜通ることも多く
建物が取り壊されていることも知らなかった

「日吉館」取り壊しへ-文化人が愛した宿  (2009.5.13 奈良新聞)
老朽化で取り壊されることになった日吉館=12日、奈良市登大路町  会津八一ら多くの文化人に愛された奈良市登大路町の旅館「日吉館」が、老朽化のため取り壊されることが分かった。名勝奈良公園の一角で、所有者の申請を受けた文化庁が現状変更を許可した。店舗兼用住宅に生まれ変わる予定で、古都の名物旅館は多くの思い出とともに姿を消す。

 日吉館は奈良国立博物館北側にあり、平成10年に88歳で亡くなった田村キヨノさんが切り盛りしてきた。

 延べ床面積約250平方メートルの木造2階建て。歌人早稲田大学教授だった会津八一や「古寺巡礼」を著した和辻哲郎、評論家の小林秀雄ら多くの文化人が定宿とした。

 学生にも愛されたが、田村さんの高齢化で平成7年に廃業、約80年の歴史に幕を閉じた。セミナーハウスとして活用する計画もあったが、立ち消えとなっていた…

http://www.nara-np.co.jp/n_soc/090513/soc090513a.shtml より引用

日吉館で検索をかけると、私と同様な記事が多数あり共鳴する点も多い
http://www.google.co.jp/search?source=ig&hl=ja&rlz=&q=%E6%97%A5%E5%90%89%E9%A4%A8&aq=f&aqi=g3g-m1&aql=&oq=&gs_rfai=
ちなみに、我が家では真夏でも「味噌煮込みうどん」を1週間から10日に1回の割合で食べているのだが、さすがに「すき焼き」は食べない
だからこそ、日吉館とともに真夏のすき焼きは忘れることができない
死ぬまでに?このような場面設定で食べることはまず無いだろうからこそであろう

最後に、この時の課題レポートで書いたのが
薬師寺東塔」と新金堂との対比である
この直後、西塔も建てられることなど微塵も知らない頃の話である
その後何度も薬師寺を訪ねることにあることも思いもよらない
「古びた物への美」と、「出来上がったときの過剰なほどの美」どちらに意味があるのか?等と書いた記憶がある