この本は、2006年の夏に、前の職場で一緒だったD先生に勧められていた本である
D先生の登場する日記→http://d.hatena.ne.jp/ky823/20070715#p1 2007-07-15
→http://d.hatena.ne.jp/ky823/20070705 2007-07-05
しばらくして意外に書店から早く姿を消していたように感じたが・・・・
発売1年半で文庫化されるのは異例だそうだが、そのおかげで昨年大晦日に購入した
- 作者: 手嶋龍一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: 文庫
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冒頭直後に、フォークルの「イムジン河」が引用されていた
D先生も言っていたことだが、日頃小説をそれほど読んでいないので
他との比較ができないのは私も同様である
したがって、Amazonの書評にあるように「人物の描写などの不満」はよく分からない
しかし、この小説を読みながら、どこまでが事実であるのかを興味深く読み進めることができる
著者は「波」(新潮社) 2007年11月号に自ら解説を書いている
http://www.ryuichiteshima.com/books/ultra/nami_200711.htm
手嶋龍一オフィシャルサイト 最近の著作
………インテリジェンス小説は、現実の出来事をなぞるのではなく、近未来の領域に踏み込んで迫りくる危機を描いてみせなければならない。確かに『ウルトラ・ダラー』を書いていた時点では何事も起きてはいなかった。世界最小にして最強の捜査機関、アメリカのシークレット・サービスが、偽札を密かに流通させていたマカオの黒い銀行に捜査のメスを入れたのは物語の完成後だった。………
この作品に書かれた「嘘のような真実」は、じつは「事実に見せかけた虚構」にすぎない――こうした情報がまことしやかに諜報世界に流布されたのだ。
………ノンフィクション・ノベルを綴ることは、現実世界に素材を採って、リアルに徹することだと説明される。だがインテリジェンス・ワールドを対象に選べば、「嘘のような真実」が随所に入り込んで、合理的な読み手の裏を次々にかいてくる。『ウルトラ・ダラー』に登場するスパイ学校の壁がピンク色に塗られているのも、日本語教材にユーミンの詞が使われているのも、じつは全てが事実なのである。インテリジェンス小説とは、現実よりよほどリアルな奇に満ち溢れている。それゆえ現実世界の核心を衝くこうした物語の器が必要だったとしか言いようがない。………
http://www.ryuichiteshima.com/books/ultra/nami_200711.htm より引用
著者のオフィシャルサイトは時間をかけて読んでみたい
http://www.ryuichiteshima.com/ 手嶋龍一オフィシャルサイト
追記:文庫版とハードカバー版との表紙の違い
http://www.ryuichiteshima.com/topics/topics_20071201.htm 手嶋龍一オフィシャルサイト TOPICS
にはこのような記載がある
ハードカバー版と較べて、微細な、しかし新たなインテリジェンスが埋め込まれています。お気づきになりますでしょうか。
このことに関して、blechmusik さんの日記にこのような記載があった
http://www.ryuichiteshima.com/books/ultra/nami_200711.htm
手嶋龍一オフィシャルサイト 最近の著作:「インテリジェンスをめぐる迷宮」――『ウルトラ・ダラー』解説
文庫版の表紙は、ハード・カバー版の表紙を拡大したものでしょう。表紙を比べてみると、ハード・カバー版の表紙において隠されていた、ウルトラ・ダラーの初めの「ラ」と、それに続く「ダ」に重なる部分が、明らかになっていますな。
ありがとうございます