「腕の立つ仕事師」たちの栄光と悲惨

 

少し前の本だが、最初のところで松本清張

半生の記(新潮文庫)

が登場する

最後にも戦中の時の彼のポスター作品が掲載されている

 

本書の最終はこのようにしめくくる

結局、山名の好んで描いた風俗としてのモダニズムも、原や前川が追い求めたデザイン様式としてのモダニズムも、今泉や新井を支えた経済合理主義としてのモダニズムも、そして小山や米山の調査・研究の裏にある価値中立的・経験主義的な科学観としてのモダニズムも、スタイルや技術であって思想や価値観ではなかった。それゆえ、いずれもがファシズムヘのアンチとはなり得なかったし、また彼らの戦後の活躍への基盤となり得たのである。そこに「腕の立つ仕事師(テクノクラート)」たちの栄光と悲惨もある。