ゴッホの遺言

ゴッホの遺言―贋作に隠された自殺の真相

ゴッホの遺言―贋作に隠された自殺の真相

10/11の日記にも書いたがhttp://d.hatena.ne.jp/ky823/20081011
このところ、ゴッホについて読んでいる

この本ではさまざまなことが指摘されていているが、偶然にも今日このような記事を発見した

http://mainichi.jp/enta/art/news/20081004k0000m040062000c.html
ゴッホ:「ドービニーの庭」加筆部に黒猫 ひろしま美術館 - 毎日jp(毎日新聞)

ひろしま美術館所蔵のゴッホ(1853〜90)の油彩画「ドービニーの庭」(縦53センチ、横103センチ)で加筆された部分の下に、黒猫が描かれていたことが吉備国際大岡山県高梁市)の調査で判明し3日、同美術館が発表した。

 ゴッホが自殺直前に描いた。構図、大きさともほぼ同じ絵がスイスのバーゼル美術館にある。この作品の左下には黒猫が描かれているが、ひろしま美術館の絵には見えず、同じ部分に加筆跡があった。下山進教授がエックス線分析顕微鏡を使い、加筆跡に青と黄の絵の具の成分を確認。両色を混ぜ、さらに青を加えると黒になり、絵の具の段差をたどると猫の姿がうかがえた。

 同美術館は文献資料などから1901年ごろ、美術評論家の依頼で画家のシュフネッケルが加筆したと推測。作品と調査内容は4日に始まる企画展で紹介される。

じつは、本書の説が覆されてしまうことになる

塗りつぶされた猫

バーゼル美術館のものに見られる左下部分の「猫」は、ひろしま美術館のものでは一見して欠けている。これは1900年にオークションにかけられた際の写真には猫が確認できること、該当部分がやや色合いが異なることなどから、後日エミール・シェフネッケルの筆によって塗りつぶされたものと考えられている。この説をとる者に圀府寺司(現大阪大学文学部教授)がいる。

小林英樹(現愛知県立大学美術学部教授)は著書「ゴッホの遺言」で、後の作品のほうに猫がないことにゴッホのメッセージが込められているという説を述べている。「ゴッホの遺言」は第53回日本推理作家協会賞「評論その他の部門」(2000年)を受賞している。

ドービニーの庭. (2008, 6月 11). Wikipedia, . Retrieved 13:45, 10月 19, 2008 from http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%BA%AD&oldid=20177521.


さて、他にも重要な指摘がなされており
例えば有名なアルルの寝室のスケッチの真贋についても述べている
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%83%E3%83%9B%E3%81%AE%E5%AF%9D%E5%AE%A4
ファンゴッホの寝室 - Wikipedia


こちらのページの小林氏の指摘がうまくまとめられている
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikkigaki/f-enohanasi/goho.htm toyo.html


http://www.lohaskibun.jp/kurashi/edokomon/cover008.html
ロハス気分/LOHAS KIBUN


おりしも、
9/23の日記で紹介したこの本で使用されていいたのは
小林氏によると贋作の疑いのあるスケッチである
http://d.hatena.ne.jp/ky823/20080923#p3

さて、長々と述べたが
この書籍はネット上では概ね好評を得ており、すでに000年の日本推理作家協会賞[評論その他の部門]も受賞している
それはそうと、著者の「断定的な表現」が妙に気になった

もうすこし「〜ではないだろうか?」「〜のように思われる」という表現はないものだろうか?
それと、改行の多く、同じような内容が繰り返し述べられているような気がした

もちろん、いわゆる通常の美術評論家が取り上げないような、鋭い切り口で通説を覆すようなものを書き上げるのは凄い
ただし、真贋という問題が出てくると、どうしても贋作を所有する側への配慮か?多くの人々はエネルギーを注ぎにくそうである
作者のような立場の人はいいのかもしれないが………
そのようなことからいくと、以前に紹介した『ゴッホは殺されたのか』のような切り口の方がいいのかもしれない

最後に、ひろしま美術館は遠く、なかなか行けそうにない
http://www.hiroshima-museum.jp/marugoto2_gaiyou
Hiroshima Museum of Art : 開催概要(まるごと2)

特に、さまざまな謎を含み、多くの研究者の間でも議論されてきたゴッホ≪ドービニーの庭≫に関しては、黒猫問題を含め、本展覧会で調査結果を発表します!!