『梅桃の実るとき』

梅桃(ゆすらうめ)が実るとき

県図書館で難なく借りることができた

「ほぉ!」と驚く記述も多く、今後のドラマの展開に期待と不安が交錯する

先週放送された第4週の「親の心」では

あぐりさんが妊娠したために女学校を退学させられそうになったのだが

同級生たちが請願して取り消されるという話だったが

この本によると・・・・・

女学校をやめ、母となる

 学校に行かせてくれるということで嫁いだのですが、私はまもなく身重になってしまいました。
担任の先生は、私のことではずいぶんお困りになったことと思います。学校から退学するようにとの注意を、家の者が受けた結果でしょう。私は、このころ学校をやめました。
私自身、あまり一所懸命勉強するタイプではありませんでしたし、学校もさほど好きではありませんでしたから、あきらめも早かったのです。もし、学校が好きで好きでしようがなかったら、きっとそこでずいぶん悩んでいたことと思いますが、学校をやめることについてはあまり未練はありませんでした。
「学校を続けられるなら吉行へ行きます」といって嫁入りしたわりにはあっさりしすぎているように思われるかもしれませんが、妊娠してしまったのですからしようがありません。

子どものときから私には、頑固なところとあきらめのいいところが共存していたのかもしれません。それに、なにより素直で単純だったのだと思います。
私は自分で思ったことはだれにも相談したりしないでパッと決めますし、また、思い立ったらすぐ行動に移してしまいます。ですから、姑からいわれて学校をやめることになればもうそれ以上はそのことについて考えないようにしてしまいます。どうも思慮が浅くて、いつもこんなふうなのです。
 松本の母にも泣き言をいったり、相談したりはまったくしませんでした。ふつう十六歳の娘といえば、すぐお母さんというような年ごろなのかもしれませんが、母が苦労をしていることはいくら子どもでもわかります。その母に心配をかけるようなことはなるべくしたくありませんでした。
 でも、母には姑のほうから相談なり報告なりをしたのでしょう。母も「よかったわね。学校をやめなくちゃならないのは我慢しなければね」といった程度のことでした。
ェイスケさんのほうは、相変わらず東京に行ったきりで、子どものことについても何もいってきません。姑から知らせはいったはずですが、父親になる実感などまるでなかったのだと思います。

                               P38-39より引用